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肺結核の予防法

毎年1万人規模での感染が確認されている結核 決して過去の病気ではありません。

令和2年 9月更新

結核は”昔の病気”という印象を持っていませんか?ところが結核は今でも多くの人がかかっています。正しい知識を持ち、結核にかからない・人にうつさないようにしましょう。

●結核とは?

 結核は、結核菌という細菌の感染によって起こる病気です。人から人にうつる感染症です。結核菌を排菌している患者さんが咳やくしゃみをすると、しぶきが飛び散ります。その中に結核菌がいます。結核菌を含んだ飛沫は2〜3メートルで床や地面に落ちてしまいますが、飛沫の周りの水分が蒸発すると結核菌は空気中に漂います。結核菌は乾燥にも強いので、かなり長い時間空気中や室内で生き続けます。
空気中に漂う菌を鼻や口から吸い込むことによって結核がうつります(空気感染)。

●どのくらいの人がかかっているの?

 昔に比べると随分減りましたが、未だに、皆さんが思っているよりも多くの人が結核にかかっています。令和元年に新たに結核患者として登録された人の数は14,460人です。80歳以上の方が4割くらいですが、最近は、10歳から29歳の若い人の患者さんが増えています。人口10万人あたりの患者さんの数を罹患率と言いますが、全国の結核罹患率の1位は大阪府です。大阪府の中でも特に大阪市の罹患率はかなり高いです。

●結核菌を吸い込むと必ず発病するの?

 結核菌を吸い込んでも必ず「感染」するわけではありません。多くの場合、気道の病原体排出機能により結核菌は体の外へ追い出されます。「感染」したからといって、全ての人が「発病」するとは限りません。「発病」とは感染した後、結核菌が活動を始め、菌が増殖して体の組織を冒していくことです。感染が成立して、結核菌は体内に残りますが、多くの場合、免疫の力によって封じ込められ発病しません。ただし、免疫力の低い乳幼児や、高齢や合併症のために免疫力が低下している人は、発病することがあります。

●結核の症状は?風邪とどう違うの?

 初期の症状は風邪と似ていますが、せき、たん、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴です。しかし、普通の風邪ではよく見られる喉の痛みや鼻水・鼻づまりの症状はほとんどありません。また、体重が減る、食欲がない、寝汗をかく、などの症状もあります。さらにひどくなると、だるさや息切れ、血たん、さらに病状が進むと呼吸困難で死に至ることもあります。
感染してから6ヶ月から2年くらいの内に発病することが多いとされていますが、感染後の数年~数十年後に結核を発症することもあります。感染が成立しても一旦は免疫力で抑え込まれていた結核菌が、免疫力が弱まった時に再び活動を始め、発病すると考えられています。抵抗力の弱まった状態(お年寄り、過労、栄養不良、他の病気による体力低下等)は注意が必要です。

●結核を予防するためには?

 まず、検診による早期発見です。結核は、高齢者に多い病気です。若い頃に、知らない間に感染して発病しないままの方がおられます。そのような人が、歳をとって免疫力が落ちると発病することがあります。そして、知らぬ間に発病したおじいさんやおばあさんが小さな孫さんに結核をうつす、ということがあります。抵抗力の弱い赤ちゃんは早めにBCG接種を受け、65歳以上の方は毎年検診を受けて結核が発病していないことを確認してください。喉の痛みや鼻水のない咳や痰が2週間以上続けば、胸部X線検査を受けてください。早期に診断がついてしっかり治療すれば、決して怖い病気ではありません。

結核は過去の病気ではありません。特に大阪は全国でも結核で亡くなる人の割合が高くなっています。昔の病気だと思わず、注意することが大切です。

肺結核の予防法